お金持ちになりたいなら車を買わない|どうして“マイカー”が資産形成を妨げるのか
「お金持ちになりたいなら、車を買わないほうがいい」です。
これは一見極端に聞こえますが、家計と資産形成の観点から見ると、非常に合理的な考え方です。
車は便利な道具ですが、同時に**最もコストの高い“消耗品”**でもあります。
購入した瞬間から価値は下がり続け、使っても使わなくても税金や保険、駐車場代が発生する。
つまり、所有しているだけでお金が流れ出す“固定費の源”なのです。
実際、経済的に余裕のある人ほど、車の所有に慎重です。
資産家の多くは「車を持つより、そのお金を投資に回す」ことを選びます。
本記事では、なぜ車が“負債”になるのか、そして本当に必要な場合にどう選ぶべきかを、
家計・税金・使用頻度の観点から具体的に解説します。
車は“資産”ではなく“負債”である
車は買った瞬間に価値が下がる
多くの人が「車は資産」と考えていますが、実際には価値を生まない支出です。
たとえば新車を300万円で購入した場合、納車した瞬間に約20〜30%の価値が失われます。
1年後には半値以下になるケースもあり、5年後にはほぼ「下取り価格程度」です。
つまり、車は“買った瞬間から減っていくお金”なのです。
さらに、車は利益を生まないモノです。
株や投資信託は保有することで配当や利息が得られますが、車はその逆で維持費というマイナス収益を生み続けます。
つまり、経済的には“マイナスの資産=負債”です。
この認識を持たないまま購入すると、毎月の家計に大きな負担を背負い続けることになります。
持つだけで毎月お金が出ていく“支出装置”
車を所有するということは、毎月の「支出契約」を結ぶようなものです。
ガソリン代、駐車場代、保険料、車検・メンテナンス、税金――などいろいろ。
どれも必ず発生し、避けることはできません。
たとえ1回も乗らなくても、**「持っているだけでお金が減る」**のが車の怖いところです。
特に都市部では駐車場代だけで月1〜3万円、年間で30万円を超えることも珍しくありません。
これにガソリン・保険・税金を加えれば、1年で50〜60万円、5年で250万円以上の出費です。
これは、あなたが“無意識に払い続けている固定費”です。
つまり車は、見た目以上にあなたの資産形成を遠ざけている“支出装置”なのです。
維持費・税金・保険が家計を圧迫する
ガソリン・税金・保険すべて“逃げられない固定費”
車を持つ限り、毎年必ず払わなければならないコストがあります。
特に大きいのが「税金」「保険」「燃料費」「車検費用」です。
日本自動車工業会のデータによると、普通車を年間1万km走らせた場合、
維持費の平均は年間30〜60万円にも上ります。
| 項目 | 年間平均コスト | 内容 |
|---|---|---|
| 自動車税 | 約3〜5万円 | 排気量で決定。軽でも約1万円以上 |
| 保険料 | 約6〜10万円 | 任意保険+自賠責保険 |
| 車検・整備費 | 約5〜10万円 | 2年ごとの法定点検・整備費用 |
| 駐車場代 | 約12〜24万円 | 都市部では月3万円超もあり |
| ガソリン代 | 約10〜15万円 | 走行距離に比例 |
これらを合計すると、年間30~60万円がかかります。
「持つだけ」で毎月4万円以上が家計から自動的に消えていく計算です。
つまり、車を所有するということは、定期的に資産を流出させる仕組みを持つということなのです。
月に数回しか乗らないのに、維持費は常に発生する
多くの人が「通勤や買い物のために車が必要」と考えています。
しかし実際に1か月の使用回数を記録してみると、意外に少ないことに気づきます。
週末の買い物や旅行、たまのドライブを合わせても、月に4〜6回程度。
つまり、ほとんどの時間は駐車場に眠っているのです。
それでも維持費は止まりません。
税金も保険も駐車場代も「乗らなくても発生する固定費」です。
使う頻度に対してコストが高すぎる、いわば“採算の合わない持ち物”といえます。
1日あたりで換算すれば、乗らない日の方が圧倒的に多く、
実際の使用1回にかかるコストはレンタカーより高いことすらあります。
つまり、車は「使えば得」ではなく「使わなくても損を生む」存在です。
この構造を理解すれば、カーシェアやレンタカーという選択肢が、いかに合理的かが見えてくるでしょう。
使用頻度で考えると“持たないほうが得”
月に数回しか使わないなら、カーシェア・レンタカーで十分
もし月に数回しか使わないのであれば、
カーシェアやレンタカーを活用した方が圧倒的に合理的です。
たとえばカーシェアの利用料は1時間あたり数百円、ガソリン代・保険代込みの料金で、維持費はゼロです。
年間の走行距離が5,000km未満の人なら、所有よりもカーシェア利用のほうがコストを半分以下に抑えられます。
さらに、乗らない期間の駐車場代や税金が不要なので、その分を貯金や投資に回すことができます。
「持つ安心感」より「使う効率」を重視するのが、これからの時代の家計戦略です。
車を“所有”ではなく“必要なときだけ使う”発想に切り替えることで、固定費は劇的に下がり、資産を守るスピードが早まります。
“便利さ”より“コスパ”で考える習慣を身につける
人は「便利さ」を求めがちですが、便利さにはコストが伴います。
車も同じで、「いつでも使える安心」は確かに魅力ですが、実際はその“安心のための維持費”を毎月払い続けているのです。
本当に必要なのは、「便利かどうか」ではなく、
**「その便利さにいくら払っているのか」**を知ることです。
コスパという視点で考えると、
年間50万円の維持費を払うより、必要なときにタクシーやカーシェアを使う方が
結果的に安く済むケースがほとんどです。
節約とは我慢ではなく、「費用対効果を理解すること」。
“便利だから”という感情ではなく、数字で判断することが、資産を増やす第一歩です。
それでも車が必要な人は“中古車一択”
新車は購入直後に20〜30%価値が落ちる
もしどうしても車が必要な場合、選ぶべきは新車ではなく中古車です。
新車は購入直後に20〜30%、1年で約40%の価値を失います。
つまり、300万円の車を買った瞬間に60万円が消える計算です。
これは、車を使う前に損をしているのと同じことです。
中古車なら、この初期減価がすでに反映されているため、購入後の価値下落は比較的ゆるやかです。
また、最近の中古車は整備状態も良く、保証付き販売も増えています。
「安い=リスクが高い」という時代ではありません。
むしろ、固定費を抑えながら必要な機能を確保できる最適解です。
中古車なら初期費用・減価・保険料すべて安く抑えられる
中古車のもう一つの利点は、総合的なコストの低さです。
まず初期費用が安く、車両価格が半分以下になることもあります。
次に、車両保険の対象額が低くなるため、保険料も安く済みます。
さらに、購入価格が低いため、ローンを組まずに現金払いできるケースも多く、金利負担もゼロに抑えられます。
中古車市場では“状態の良い低走行車”も多く、少しリサーチすればコスパの高い車を見つけることができます。
新車の“新しさ”にお金を払うより、
中古車の“実用性と費用対効果”に投資する方が、家計を守る賢い選択です。
まとめ|“持たない選択”があなたを豊かにする
車は自由を与えてくれるように見えて、実は家計の自由を奪う存在です。
持つほどに出費が増え、使わなくても固定費が減らないです。
その構造を理解できれば、「持たない」という選択がどれほど合理的かが見えてきます。
本当に豊かになる人は、見栄や便利さではなく、
「お金の流れ」を基準に判断します。
車を買わないことで、年間数十万円のキャッシュフローを改善し、その分を投資や学びに回せば、数年後には大きな差になります。
もしどうしても必要なら、中古車で最小コストに抑えます。
それが“車に支配されない人生”への第一歩です。
持たない自由こそ、経済的自由のはじまりなのです。
