毎月分配型投信は危険?初心者が絶対に手を出してはいけない理由を徹底解説
今日のテーマは「毎月分配型投資信託(毎月分配型投信)」です。
銀行や証券会社で
「毎月お小遣いのように分配金がもらえる」「年金代わりになる」
と強くすすめられる人気商品ですが、実は 長期投資に最も不向きな金融商品 のひとつです。
多くの初心者は
- 分配金=利益
- 毎月もらえてお得
- 安定した収入になる
と勘違いしてしまいますが、現実はまったく逆で、自分の資産を切り崩して受け取っているだけ であるケースがほとんどです。
本記事では:
- 毎月分配型投信とは何か
- 分配金はどこから来るのか
- なぜ資産形成に向かないのか
- そもそも毎月分配型が作られた背景
- 安全で合理的な代替案
を、初心者にも分かりやすく解説します。
毎月分配型投信とは?
毎月分配型投信とは「毎月お金がもらえるように見える投信」
毎月分配型投信とは、投資信託の一種で、名前の通り 毎月分配金を出すことを売りにした商品 です。
たとえば銀行窓口では以下のような言い方をされます:
- 毎月1万円の分配金がもらえる
- 老後資金として安定的に受け取れる
- 預金よりずっと有利
一見すると魅力的ですが、ここで最も重要なポイントがあります。
分配金=利益ではないです。
毎月分配型投信は、分配金を出すために
運用で増えたお金だけでなく、元本(あなたの投資した資金)まで取り崩して支払う
ことが非常に多い商品です。
そのため、毎月分配金を受け取っているつもりでも、
- 基準価額が下がる
- 資産全体としては目減りする
という構造になりがちです。
つまり「毎月お金が入る」のではなく、毎月あなたの財布からお金が抜かれている のと同じです。
分配金はどこから出ているのか?
分配金の正体は「運用益+元本の取り崩し」である
毎月分配型投信の分配金は、一見すると「ファンドが毎月安定して利益を生み、その利益を投資家に還元している」ように感じられます。
しかし実際の仕組みははるかに複雑で、分配金の源泉は 運用によって得られた収益だけではありません。
もっと正確に言うと、毎月安定して配り続けるために、利益が出ていない月でも無理やり分配する構造になっています。
分配金の内訳は大きく分けて2つです:
- 普通分配金(=運用で得た利益からの分配)
- 特別分配金(=元本の取り崩し)
このうち、毎月分配型投信で大部分を占めるのは 特別分配金=元本の取り崩し です。
つまり、「毎月お金が入ってくる」というのは新たに利益が生まれているわけではなく、多くの場合、自分が投じた元本を少しずつ返してもらっているだけ という状態です。
さらに特別分配金は税金がかからないため(元本返済扱い)、税金がかからない=お得 と誤解しがちですが、実際は「税金がかからないのではなく、そもそも利益が出ていない」という意味であり、資産成長の観点では完全に逆効果です。
元本を取り崩して分配しているため、当然ながら 基準価額は長期的に下落傾向 になります。
その結果、毎月の分配金に喜んでいても、残高は確実に減っていく——これが毎月分配型投信の構造的な弱点です。
つまり、分配金は“利益の配当”ではなく、実態としては“元本の計画的な取り崩し”です。
この仕組みを理解していないと、投資家は「毎月の収入がある」と錯覚し、実際には資産が削られていくという最も危険な状況に陥ります。
なぜ毎月分配型投信を買ってはいけないのか?
① 元本を削り続ける仕組み(資産成長しない)
毎月分配型投信は、長期投資で最も重要な要素である
複利効果(利益が利益を生む力)を完全に殺してしまいます。
インデックス投信や株式投信で資産が増えるのは、配当や利益が再投資され、
時間とともに資産が雪だるま式に成長するからです。
しかし毎月分配型投信は、
- 利益をすべて外に出す
- 足りなければ元本も取り崩す
- 基準価額が下がる
というサイクルになっているため、長期で見れば資産はほぼ確実に減ります。
銀行が好んで販売するのも理由が明確です:
- 手数料が高い
- 入れ替え提案がしやすい
- 販売会社が儲かる構造
つまり、毎月分配型は 顧客の資産を減らしながら、金融機関の利益を増やす商品 なのです。
② 手数料が極めて高い(顧客が不利になる設計)
毎月分配型投信は、他の投信と比べて明らかに手数料が高い傾向があります。
- 信託報酬が高い(年 1〜2% 以上も珍しくない)
- 信託財産留保額がかかる場合もある
- 売買されるたびに金融機関が儲かる構造
資産形成で大切なのは コストを下げて複利成長させることです。
しかし毎月分配型はこの原則の真逆を行きます。
毎月分配型のほとんどが長期で右肩下がりになるのは、高い手数料で資産が削られていくのも大きな原因です。
③ 見かけ上の“毎月収入”が錯覚を生む(行動経済学的な罠)
毎月分配型投信が初心者に人気なのは、心理的な要因が大きいです。
- 毎月お金が入ると安心する
- 年金のように感じる
- “安定収入”に見える
- 元本が減っていることに気づきにくい
この心理的メリットが、逆に投資判断をゆがめてしまいます。
実際、毎月1万円の分配金を受け取っていても、
- 基準価額が毎月200円下がる
- 特別分配金で口数が減る
というケースは非常に多く、毎月1万円もらうために、毎月2万円失っているといった状態になることすらあります。
「毎月お金が入る安心感」が、「資産全体の減少」という現実を隠してしまうのです。
資産成長したい人は“株式インデックス+現金”で十分
資産形成の王道はシンプルな組み合わせ
毎月分配型投信をやめるべき最大の理由は、資産が減る構造になっているからです。
一方で、資産を長期で成長させたい人にとっては、以下の組み合わせが最も合理的です。
株式(インデックス投信)
- 全世界株式
- S&P500
- 国内株式(TOPIX)
などの長期成長が見込める資産です。
現金(生活防衛資金・短期資金)
- 必要な現金は普通預金でキープ
- 投資と生活費を明確に分ける
この「株式インデックス+現金」のシンプルな構成こそ、長期で最も成功率が高い方法です。
毎月分配型で“毎月のお小遣い”を作る必要はありません。
必要なら 自分で保有資産を取り崩せばよいだけ ですし、その方がコストも低く、資産成長も維持できます。
まとめ
毎月分配型投信は、
一見すると「毎月の安定収入が得られる便利な商品」のように見えます。
しかしその分配金の多くは利益ではなく、特別分配金=元本の取り崩し であることが最大の問題です。
つまり、投資家が毎月の分配金を受け取って安心している間に、実際は自分の資産が目減りし続けている構造になっています。
結論として、資産成長の王道はシンプルです。
株式インデックス(全世界・S&P500 など)+現金
この組み合わせだけで、長期的には最も再現性の高い資産形成が可能です。
毎月分配型に頼らず、必要な時だけ自分の判断で取り崩す「セルフ分配」の方が、圧倒的に合理的で安全です。
