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日本の個人向け国債とは?種類・メリットと金利局面別の選び方を解説

勉強ちゃん

長年にわたり、日本は「超低金利社会」と言われてきました。
銀行預金の利息はほとんど付かず、「安全にお金を増やす手段がない」と感じていた人も多かったのではないでしょうか。

しかし近年、日本銀行の金融政策の転換により、基準金利は徐々に引き上げられています。
それに伴い、これまであまり注目されてこなかった個人向け国債に再び関心が集まり始めています。

個人向け国債は「元本保証」「国が発行」という高い安全性を持つ一方で、
「種類の違いが分かりにくい」「金利が上がるとき・下がるとき、どれを選べばいいのか分からない」
といった声も少なくありません。

本記事では、

  • 日本の個人向け国債にはどのような種類があるのか
  • それぞれのメリット・デメリット
  • 金利上昇局面・低下局面での選び方
  • 現在の金利環境ではどのタイプが現実的か

といった点を、分かりやすく、実務目線で整理して解説します。


個人向け国債とは何か

個人向け国債の基本的な位置づけ

個人向け国債とは、日本国が発行する債券のうち、購入対象を個人投資家に限定した金融商品です。
銀行や保険会社などの機関投資家向けに発行される通常の国債とは異なり、一般の個人が少額から直接購入できる点が大きな特徴です。
「日本の個人向け国債」は、国の財政を支える資金調達手段であると同時に、個人の資産形成を支援する目的も持っています。

最大の特徴は元本保証がある点です。
満期まで保有した場合、購入した元本が必ず戻ってくる仕組みになっており、その信用の裏付けは日本国そのものです。
これは、企業が発行する社債や、価格変動のある株式・投資信託とは根本的に異なります。
そのため、個人向け国債は「リスクを取って増やす資産」ではなく、「資産を守るための超低リスク資産」として位置づけられます。

通常の国債・定期預金との違い

個人向け国債を理解するうえで重要なのが、通常の国債や銀行の定期預金との違いです。
まず、新窓販国債や機関投資家向け国債は、市場で売買されることを前提とした商品であり、価格は金利動向によって変動します。一方、個人向け国債は市場価格での売買を想定しておらず、価格変動リスクを個人に負わせない設計になっています。

銀行の定期預金と比較すると、どちらも元本保証という点では共通していますが、保証の仕組みが異なります。定期預金は預金保険制度により、金融機関ごとに元本1,000万円までが保護対象です。
一方、個人向け国債は日本国が直接債務者であるため、金融機関の破綻リスクとは切り離されています。


個人向け国債にはどんな種類があるのか

変動10年(変動金利型・10年)

変動10年は、日本の個人向け国債の中でも金利動向に連動するタイプの商品です。
最大の特徴は、半年ごとに適用金利が見直される点にあります。市場金利が上昇すれば、それに合わせて受取利息も増える仕組みになっています。

この変動金利型の構造により、変動10年は金利上昇局面に強い個人向け国債とされています。インフレが進行し、長期金利が上昇する局面では、固定金利型よりも有利になりやすい傾向があります。
近年のように、日本銀行の政策変更や基準金利の引き上げが意識される環境では、「個人向け国債 変動10年」に注目が集まりやすくなります。

一方で、金利が下がれば受取利息も低下します。ただし、最低金利保証(年0.05%)があるため、極端に利息がゼロ近くまで落ちることはありません。
長期的に資金を置きつつ、将来の金利上昇に備えたい人にとって、変動10年はバランスの取れた選択肢と言えるでしょう。

固定5年(固定金利型・5年)

固定5年は、発行時に決まった金利が満期まで変わらない個人向け国債です。
購入時点で将来受け取る利息が確定するため、安定性を重視する人向けの中期商品として位置づけられます。

固定金利型の最大のメリットは、金利低下局面においても影響を受けない点です。
市場金利が下がっても、発行時に決まった利率が維持されるため、「今の金利水準を確保したい」という考え方に向いています。
そのため、金利がピークに近いと考えられる局面や、先行き不透明な状況では、「個人向け国債 固定5年」を選ぶ人も少なくありません。

運用期間が5年と比較的短いため、老後資金の一部や、数年後に使う予定のある資金を置く先としても使いやすい商品です。
長期拘束を避けつつ、一定の利息を確保したい人にとって、固定5年は実用性の高い選択肢です。

固定3年(固定金利型・3年)

固定3年は、個人向け国債の中で最も期間が短いタイプです。発行時の金利が3年間固定され、比較的短期間で満期を迎えます。
この商品は、資金の流動性を重視する人や、将来の金利動向を見極めたい人に向いています。

例えば、「今は金利がまだ低いが、将来さらに上がる可能性がある」と考える場合、あえて長期の商品を選ばず、固定3年で様子を見るという使い方が考えられます。
短期間で資金が戻ってくるため、次の投資判断に柔軟につなげやすいのがメリットです。


個人向け国債のメリット

元本保証と国家信用による高い安全性

個人向け国債の最大のメリットは、元本保証と国家信用に支えられた高い安全性です。
日本国が発行主体であるため、企業倒産や金融機関破綻といったリスクとは性質が異なります。

銀行預金の場合、預金保険制度による保護限度がありますが、個人向け国債はその枠に関係なく、日本国の信用力に直接依存します。
この点は、資産を守ることを最優先に考える人にとって、非常に大きな安心材料です。

最低金利保証(年0.05%)の存在

個人向け国債には、最低金利保証(年0.05%)が設定されています。
これは、市場金利が大きく低下した場合でも、受取利息がゼロにならない仕組みです。

デフレや超低金利環境が長期化した場合でも、一定の利息が確保されるため、「全く増えない」という事態を避けられます。
この仕組みは、保守的な運用を望む個人投資家にとって、心理的な安心感につながります。

1万円から購入できる手軽さ

個人向け国債は、1万円から購入可能という点も大きな魅力です。
まとまった資金がなくても始められるため、投資初心者や高齢者でも利用しやすい設計になっています。

少額から分散して購入することもでき、資金管理の自由度が高い点も評価されています。
「まずは安全な商品から始めたい」という人にとって、個人向け国債は入口として非常に適した金融商品です。


個人向け国債のデメリット・注意点

高い利回りは期待できない

個人向け国債を検討する際、必ず理解しておくべき点が「高い利回りは期待できない」という現実です。
個人向け国債は、安全性を最優先に設計された金融商品であり、株式や投資信託のように大きなリターンを狙うものではありません。価格変動リスクをほぼ排除している代わりに、利回りは抑えられています。

例えば、長期的に見ると株式投資は経済成長の恩恵を受けやすく、年率数%以上のリターンが期待できるケースもあります。
一方、個人向け国債 利回りは、市場金利に連動するとはいえ、インフレ率を大きく上回る水準になることは稀です。
特にインフレが進行している局面では、名目利回りがプラスでも、実質的な購買力が目減りする可能性があります。

そのため、個人向け国債は「資産を増やす主力商品」としてではなく、「価格変動を抑えつつ資産を守るための土台」として位置づけることが重要です。
リターンを求める資産と、安全性を重視する資産を役割分担させるという視点が欠かせません。

原則1年間は中途換金できない

個人向け国債には、原則として購入から1年間は中途換金できないという制約があります。
これは、短期売買を防ぎ、安定的な国債運用を行うための仕組みですが、流動性という観点では明確なデメリットになります。

1年経過後は中途換金が可能ですが、その際には直前2回分の利子相当額が差し引かれます。元本自体は保証されるものの、「すぐ現金化できる資産」ではないという点は理解しておく必要があります。

急な医療費、転職・引越しなど、突発的な資金需要が発生した場合、個人向け国債だけに資金を集中させていると対応が難しくなります。
そのため、生活費や緊急予備資金については、普通預金や流動性の高い商品と分けて管理することが現実的です。

税制面では優遇されていない

個人向け国債は安全性が高い一方で、税制面での特別な優遇はありません
受け取る利子には、20.315%(所得税+住民税+復興特別所得税)の源泉分離課税がかかります。

この点は、NISAやつみたてNISAといった非課税制度との大きな違いです。NISA口座で運用する株式や投資信託の利益は非課税となるため、長期的な資産形成では税制面での差が大きくなります。

つまり、個人向け国債は「税制メリットで増やす商品」ではなく、「課税されてもなお安全性を優先する商品」と言えます。
税引後の利回りを正しく把握した上で、資産全体の中でどの程度の割合を割り当てるかを考えることが大切です。


金利上昇局面・低下局面での選び方

金利が上昇している局面で向いている国債

金利が上昇している局面では、一般的に変動10年(変動金利型・10年)が有利になりやすいとされています。
変動10年は、半年ごとに金利が見直され、市場金利の上昇が受取利息に反映される仕組みだからです。

基準金利や長期金利が上昇すると、固定金利型の商品では「低い金利で固定してしまう」リスクがあります。
一方、個人向け国債 変動10年は、金利環境の変化に追随できるため、インフレや金利上昇局面に対応しやすい特徴があります。

もちろん、金利が下がれば利息も低下しますが、最低金利保証があるため、極端な不利にはなりにくい設計です。

金利が低下・横ばい局面で向いている国債

一方で、金利が低下している、もしくは当面大きな変動が見込まれない局面では、固定5年・固定3年といった固定金利型の個人向け国債が有力な選択肢になります。

固定金利型の最大のメリットは、「今の金利水準を先に確保できる」点です。将来的に金利が下がった場合でも、発行時に決まった利率が満期まで維持されます。
特に、数年以内に使う予定のある資金や、運用期間を明確に決めたい場合には、固定型の安心感は大きな価値を持ちます。

固定5年は中期運用、固定3年は短期運用と位置づけると分かりやすく、金利環境だけでなく、資金の使い道や時間軸に応じて選ぶことが重要です。


まとめ|個人向け国債は「守りの資産」としてどう使うか

個人向け国債は、日本国が発行する安全性を最重視した金融商品であり、価格変動リスクを極力避けたい人に向いています。
一方で、大きく資産を増やすことを目的とした商品ではなく、役割はあくまで「守り」です。

金利上昇局面では変動10年、金利低下・横ばい局面では固定5年・固定3年といったように、金利環境によって選ぶ種類が変わる点も重要なポイントです。
また、流動性や税制の制約を理解した上で、生活資金・投資資金・防衛資金を分けて考える必要があります。

個人向け国債は、資産全体のリスクを抑えるための土台として活用することで、真価を発揮します。
「増やす資産」と「守る資産」を明確に分け、自分の資金用途と金利局面を理解した上で使い分けることが、長期的に安定した資産管理につながるでしょう。

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