AGGとは?米国総合債券ETFの構成・価格変動理由・金利影響・日本投資家の注意点をわかりやすく解説

勉強ちゃん

近年、日本の投資系 SNS やブログで「AGG(米国総合債券ファンド)って買うべき?」「金利が高い時に AGG を仕込むとどうなる?」という話題が急上昇しています。
背景には、米国の急速な利上げ、債券価格の大幅下落、そして日本人にとっての円安・円高リスクが複雑に絡み合い、米国債券投資を取り巻く環境が大きく変化したことがあります。
AGG は「米国の投資適格債券を丸ごと買える」超王道の ETF であり、株式のボラティリティを抑える目的で検討する人も多い一方、「価格が下がり続けている理由が分からない」「金利と債券の関係が難しい」という声が多いのも事実です。

また、AGG は株式 ETF とは異なり、価格変動の原因が「企業業績」ではなく「金利・インフレ・金融政策」に左右されるため、理解せずに買うと長期で損失を抱えるリスクもあります。
特に「為替リスク」「配当課税」など、米国在住者や現地投資家とは異なる注意点も多く存在します。

この記事では、2025 年の最新環境を前提に、

  • AGG の構成や特徴
  • 国債・社債の基礎
  • 金利と債券価格の関係
  • 買う際の注意点

を初心者にも分かりやすく丁寧に解説します。


AGGとは?

AGGは「米国の投資適格債券を丸ごと買えるETF」

AGG(iShares Core U.S. Aggregate Bond ETF)は、
米国債券市場の“コア部分”を丸ごと買えるように設計された ETF で、米国の投資適格債券(Investment Grade Bond)の代表とも言える商品です。
投資適格債券とは、S&P の格付けで BBB 以上の安全性が高い債券を指し、国家・政府機関・大企業など信用力の高い発行体が中心になります。
AGG はこうした複数の債券をまとめて購入できるため、1 本の ETF で驚くほど広い分散が効き、個別に債券を買うよりリスクを抑えられるのが大きな特徴です。

構成は「米国債」「政府機関債」「投資適格社債」「MBS(住宅ローン担保証券)」が中心で、債券市場の広い範囲に投資できます。
米国人にとって AGG は「株式に対する安定資産」の代表であり、リスクを下げたい投資家や退職後の資産運用で安定性を重視する層に特に人気があります。

日本の投資家が AGG を選ぶ理由としては、
「米国金利の動きに連動した値動きを把握しやすい」「株価暴落時に価格上昇しやすい(リスクオフ)」などがあります。
つまり、AGG は米国債券市場の健康状態を指数化したような存在であり、米国市場に広く分散投資したい初心者にとっても理解しやすく、安定感のある ETF と言えます。

構成比率

AGG の魅力のひとつは「非常にバランスの良い構成比率」です。
2025 年時点の平均的な構成は、米国債が約 40%前後と最も多く、次いで MBS(住宅ローン担保証券)が 25〜30%、投資適格社債が 25%前後を占めています。
この比率からも分かるように、AGG は“極端なリスクを取らない設計”になっており、国債と政府機関債が全体の 70%以上を占めることで安全性を高く保っています。

特に米国債は世界最高レベルの信用を持つため、デフォルトリスクはほぼゼロです。
MBS も政府機関が保証するタイプ(Ginnie Mae、Fannie Mae など)が中心で、リスクは限定的です。
社債についてもジャンク債(投機的債券)は一切含まず、BBB 以上の投資適格のみを採用しているため、企業倒産による損失リスクも最低限に抑えられています。

この構成は、株式市場の変動に左右されず、金融政策(金利)の動きを反映した値動きになるのが特徴です。
株式のように企業の業績次第で大きく値が動くことは少なく、安定した価格推移と利回りを狙える点が、リタイアメント層やリスクを抑えたい投資家に支持される理由です。


AGGを理解するための基礎知識

国債とは?(リスクほぼゼロの安全資産)

国債とは、アメリカ政府が資金調達のために発行する債券で、米国という世界最大の経済大国・基軸通貨国が発行しているため、世界で最も信用力の高い金融資産と言われています。
米国債はデフォルトの可能性が限りなく低く、極めて安全性が高いことから、世界中の投資家、年金基金、各国政府が保有しています。
AGG のポートフォリオでは約 40%前後を米国債が占めており、これが AGG 全体の安定性を支える大きな柱となっています。

ただし、“安全でも価格は動く”点には注意が必要です。
債券価格は金利の変動と逆の動きをするため、FRB が利上げを行うと既存の債券価格は下落し、逆に利下げ局面では債券価格が上昇します
この「金利と債券価格の逆相関」が AGG を理解する最重要ポイントであり、米国経済の見通しやインフレ率が変われば国債価格も大きく動きます。
つまり、国債は“デフォルトリスクがほぼゼロの安全資産”である一方、市場金利によっては短期的に価格が上下する金融商品でもあり、安全性と価格変動の両方を理解する必要があります。

社債とは?(企業が発行する債券)

社債とは、企業が事業資金を調達するために発行する債券で、国債よりも信用リスクが高く、発行企業の財務状況によって価格変動が大きくなることがあります。
企業が好調なら利息を受け取りながら安全に保有できますが、財務悪化や倒産の可能性がある企業の場合、債券の価値が下落したり、最悪の場合は利息すら支払われず元本も返ってこないケースがあります。
そのため、社債は国債より高い利回りを投資家に提供し、リスクとリターンのバランスで成り立っています。

AGG が投資する社債は「投資適格」の大型企業が中心で、S&P 格付けで BBB 以上の信用力の高い会社に限定されています。
たとえば、
Microsoft、Apple、Johnson & Johnson のような米国の巨大企業が発行する社債は非常に安全性が高く、国債ほどではないものの堅実な利息を生み出します。
AGG では社債比率が 25%前後であり、リスクと安定性のバランスをとる役割を担っています。
この構成により、AGG は“安全性を確保しながら利回りも狙える”債券 ETF として評価されています。

社債の格付け(投資適格・ジャンク債)

社債には信用力を示す格付けがあり、これが債券投資の安全性を理解するための重要な指標となります。
一般に BBB 以上が「投資適格(Investment Grade)」と呼ばれ、一定の財務健全性と信頼性を持つ企業だけが発行できる区分です。
一方、BB 以下の「ジャンク債(ハイイールド債)」は利回りが高いものの、企業の経営破綻などによるデフォルトリスクも高く、価格変動が激しいため初心者には向きません。

AGG が非常に安定している理由は、
投資対象がすべて「投資適格債」に限定されていることにあります。
高リスクのジャンク債を一切含まないため、景気悪化局面でも急落しにくく、株式市場が混乱している時でも資産の保全効果を発揮する設計になっています。
また、格付けが高い社債は利回りこそ低めですが、大企業中心で倒産リスクが小さいため、国債との組合せによって AGG 全体の安定性が高まるというメリットがあります。


AGGの価格変動の仕組み(超重要)

① 金利(利回り)と債券価格の関係

債券価格の最重要ポイントは「金利と価格が逆相関で動く」という仕組みです。
つまり、金利が上がれば AGG の価格は下がり金利が下がれば AGG の価格は上昇します
これは、既存の債券の利息が、新しく発行される債券より相対的に魅力が下がるため起こる現象です。
金利変動は FRB(アメリカの中央銀行)の政策金利、インフレ率、経済指標によって決まるため、AGG は株式とは異なる動きをしやすく、ポートフォリオ全体のリスク分散に役立ちます。

特に AGG はデュレーション(価格が金利に反応する度合い)が長めの債券を多く含むため、金利変動の影響が強く、利上げ局面では大きく値下がりする可能性があります。
その一方で、利下げ局面に入れば AGG の価格は大きく跳ね上がることが多く、株式市場が下落しているタイミングでも AGG は上昇するケースがあります。

② AGGが下落する主な原因

AGG が下落する最大要因は FRB の利上げ です。
金利が急激に引き上げられると既存の債券は割高になり、価格が下落します。
2022〜2024 年にかけての急激なインフレと利上げにより、AGG は歴史的な下落を経験しました。
これは債券 ETF 全体に共通する現象で、金利上昇局面では避けられない値動きです。

次に、インフレ率の上昇 も AGG の価値を下げる要因です。
インフレが進むと、将来受け取る利息の価値が目減りするため、債券の投資魅力が低下し、価格が下落します。
また、AGG の構成債券はデュレーションが長く、金利に敏感であるため、金利が動くたびに価格が変動しやすいという特徴があります。


AGGを買うときの注意点

① 為替リスク(円高・円安で損益が大きく変わる)

AGG を日本で買う最大の注意点は「為替リスク」です。
AGG 自体は米ドル建てで運用されているため、日本円で買う場合は必ず “ドル円の動き” が最終リターンに反映されます。
たとえば、
同じタイミングで AGG の価格が全く動いていなくても、ドル円が 150 円→135 円へ円高に振れた場合、日本円ベースでは約 10%以上の損失になる可能性があります。
逆に、135 円→150 円へ円安が進めば、AGG の値動きとは関係なく為替差益だけで大きな利益が出ることもあります。

つまり、AGG を買う場合、実際の損益は **「米国債券価格の変動 × 為替変動」**という二軸の影響を受けます。
米国金利が下がって AGG が上昇しても、同時に急激な円高が起きれば、日本円ベースでは利益が消える、最悪の場合マイナスになるケースもあります。
特に金融政策が日米で大きく異なる時期(米国は利上げ、日本は金融緩和など)では為替変動が激しくなるため注意が必要です。
為替リスクを軽減するには、円高の局面で少しずつドルを買う、積立形式で時間分散するなどの方法が有効です。
いずれにしても、AGG は “為替の影響を強く受ける商品” であることを理解して購入する必要があります。

② 配当(利息)が日本では課税される

AGG は毎月分配の ETF であり、保有中は利息にあたる分配金を受け取れますが、日本の投資者にとって問題になるのが 配当課税の二重構造 です。
まず、米国で 10%の源泉徴収が行われ、その後、日本でも所得税・住民税がかかります。
これにより、米国人が受け取る分配金に比べ、日本投資者の手取りは確実に少なくなります。
AGG の魅力のひとつである「高い利息」が、税引き後には想定よりも目減りする点は非常に重要です。

さらに、NISA を使えば日本の課税はゼロになりますが、米国側の 10%源泉徴収は免除されません。
つまり NISA を使っても「満額の配当を受けられない」という点がデメリットとして残ります。
また、AGG は配当回数が多いため、課税タイミングが多く、そのぶん課税によるロスも積み重なっていきます。
債券 ETF を選ぶ際は、配当課税の重さがリターンに与える影響を理解し、「配当を受ける意味」「米国 ETF を選ぶメリット」を比較することが大切です。

③ 長期保有のメリット・デメリット

AGG の長期保有にはメリットとデメリットが共存します。
まずメリットは 金利が高い時期に買えば有利 という点です。
高金利時代に AGG を購入しておけば、その後の利下げ局面で AGG の債券価格が上昇し、値上がり益を得やすくなります。
さらに、株式市場が不安定な時期には債券に資金が流れる傾向があるため、株式の下落を和らげるクッションとしても機能します。

一方のデメリットは 金利上昇局面では不利 という点です。
FRB が追加利上げを行うと既存の債券価格は下落し、AGG も同時に下落しやすくなります。
また、AGG のデュレーションは長めで金利変動の影響を受けやすいため、短期間で大きくマイナスになる可能性もあります。
さらに、為替変動・配当課税といった日本独自のデメリットも重なるため、米国人が保有する場合に比べて日本投資者の長期保有は複雑な判断を要します。


まとめ

AGGが向いている人

AGG は「株式だけだと値動きが怖い」「ポートフォリオのボラティリティを下げたい」という人に向いています。
特に株式 100%で運用していると、相場急落時に資産が 20〜30%下落する場面があり精神的負担が大きくなりますが、AGG は債券市場全体に分散されているため価格変動が比較的小さく、資産全体の安定性を高める効果があります。
また、金利が天井付近にあると考えられる局面で購入すれば、将来の利下げによる値上がりも期待でき、株式と組み合わせることでより安定した投資運用が可能になります。
株式中心だが守りも欲しい、リスク分散を重視したいという投資家に最適です。

AGGが向かない人

AGG は“安定性重視”の資産であり、高い成長や大きなキャピタルゲインを求める人には不向きです。
米国株や全世界株のような長期で大きく増える資産とは異なり、AGG のリターンは控えめであり、資産形成スピードは遅くなります。
また、為替リスクを嫌う人、円高による目減りを避けたい人にとっては、米ドル建ての債券 ETF はストレスになりやすい商品です。
さらに配当課税は日本では二重で行われるため、効率性を重視する投資家にとって不利な面が多く、純粋に債券の安定性だけを得たいなら日本円建ての債券の方が適している場合もあります。

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